だからと言って恋心はバーチャルではない

バーチャルワールドのリアル恋心を吐き出すための自己満足ブログ

優しいとどめ

美夕さんが業務中、無理して30分時間を取ってくれた。
何よりも先ず詫びようとするオレを遮って、彼女から提案があった。


「リアルのことはお互いリアルの姿で話した方がいいかな?」と。


想定外の提案だが、その方がサッパリするだろうと瞬間的に判断し、同意した。


今度は事故ではなく、彼女が俺のために用意してくれたテレカンで正式に接続した。


上半身が映し出される。
やはり、圧倒的な目力、非日常的なその雰囲気に気圧されるところから始まってしまう。


今回は、30分まるまるテレカンに使えるとのことだったが、15分経つか経たないかのところで俺からテレカン終了を願い出た。
ギブアップしたと言った方が良いかもしれない。


前回は事故だったため30秒程度で終了だった。
逆に、それが長かったら今回のようなことは無かっただろうと思った。


5分ほど話した頃から、オレの中に明確な自覚が生まれた。
彼女には失礼に当たるだろうが言葉を選ばずに言うと、「オレが手を出せるような女じゃないな」という自覚だ。


高層オフィスビルの高層階に用意された個室の執務室からの眺望が彼女の背後に見える。
ただそれだけの事だが、彼我の比較には十分だ。
住む世界がまったく違うことは明らかだ。


しかし、彼女なら、そんなことは関係無い、何かをジャッジするファクターになり得ないと一蹴するだろう。


そんな小人らしい思考に支配されながらもモニター越しのリアルタイムの彼女の容姿と声に心地良さを感じているオレに、リアルの彼女がハッキリと言った。


今後は、このような形も含め、あなたと関わることは一切できません。
それは、何かしらの制約によるものではなく、私の意思によるものです。
私の容姿や今ご覧になっている私の背後の景色などについては、個人や場所を特定できる情報を含まないのなら自由に情報発信されても構いません。
以上は、あなたの承諾や同意が必要な事柄ではないので、あなたがこの意思表示を受領なさったことだけを確認させてください。
ご受領いただけましたね?


「はい、確かに。」と返答し、続けてインワールドのことを話そうとしたのを察して彼女は続ける。


フォーカスがボケるのはお互いの益にならないので、メソッドとアジェンダは分別しましょう。
それでは、失礼します。
お時間、ありがとうございました。


その後、インワールドの彼女と話をした。


リアルの彼女が努めて事務的に対話を終わらせてくれたことに救われた。
心配や同情の目で見られたら、惨めになるだけでなく、きっと気持ちの決着もつかなかっただろうと思った。


考えてみたら相当厳しい宣告をされたのだろうが、不思議なことに消化不良が無く、腹落ちがとても良い。
何よりも清々しい。


こういうコントロールができるからこそ、オレと変わらない歳なのに、300人を超える部下を日々動かし、親ほど年上の海千山千の役員連中と肩を並べることができるのだろうな、とまた改めて彼我の差を痛感した。


もう迷わない。
惑わされない。(そして、もう『ゴミ』は落とさない汗)
その確信に満たされた。