だからと言って恋心はバーチャルではない

バーチャルワールドのリアル恋心を吐き出すための自己満足ブログ

事故の後遺症

美夕さんがセカンドライフを始めた大学生の頃にリアルで彼女と出会い、『たかみつさんと似たような経緯』(ご本人の表現)でセカンドライフを始めた11年目のSakutaroさんからお話を伺える機会があった。


その中で、これまで詳細を聞かされていなかった美夕さんの「空白の8年間」(彼女がインワールドから消えていた8年間)の真相を知った。


9年前、セカンドライフは全盛期を過ぎながらも未だ活況を呈していたそうだ。
周囲の求めでカフェを営業していた彼女には例によって多くのファンがいた。
東京近郊に住むファンから「オフ会」の話が持ち上がり、当時は今ほどその危険性も指摘されておらず、彼女もフットワークの軽い大学生であったことから、インワールドの友人二人と参加した。
3:3のオフ会が開催された。
3人の男が彼女のストーカーになった。
彼女のリアルがまさに現実的に侵され、警察沙汰、裁判沙汰に発展した。
被害にあった彼女の家族、交際中のフィアンセ(現在のご主人)、周囲の友人からセカンドライフをやめるよう強く勧められた。
彼女はセカンドライフから姿を消した。


しかし、彼女はアカウントは捨てなかった。
それは、彼女がセカンドライフを始めたモチベーションに関わっていた。


おそらく当時からそうであったろうし、現在では間違いないが、彼女はいわゆる「リア充」だ。
容姿、人間関係、職業、収入、どれをとっても他が羨む状態だろう。


先日、あるアクシデントで彼女のリアルに触れた時も強く思った。
なぜ、こんな人が仮想世界にいるのだろう、と。


しかし、その疑問はオレ基準だったのだ。
仮想世界にいる人々は、皆が皆、オレのようにリアルから逃れたい、リアルで得られない癒しを求めてるわけではないのだ。


Sakutaroさんが仰っていた。
彼女(美夕さん)は、今でこそITで活躍しているが、それも身を置いていた法律の世界から猛烈なラブコールでヘッドハントされてのことだし、そもそもはクリエイターが第一志望だったんだよね。
正確にいうと、遊園地を作るのが一番やりたいことだったかな。
「私が作った世界でみんなが寛いでくれたら素敵だな」が口癖だったよ。


そう、彼女は自分の世界を作りたくてセカンドライフをやっているだけなのだ。
オレのように現実から逃れるためでも、自分に都合のいい人間関係を作るためでもないのだ。


だったら、どうしてカフェをやっていた?


彼女が土いじりをしていると人が話しかける。
彼女は相手をする。(やりたい作業が止まる)
彼女との会話は大抵の者にとって心地良い刺激があるから、また話したくなってやってくる。
彼女は相手をする。(やりたい作業が止まる)
その作業不能時間がどんどん膨らむ。


それを抑止するためのカフェだったそうだ。
週に何日か、数時間だけの営業時間。
その間だけの話し相手をすれば済む。
彼女にとって、カフェの営業時間は自分のやりたいことをやる時間を確保するために止む無く消費する時間なのだ。
(営業と言いながらもチップを取らないことも納得できる。)


今、オレはその仮想空間の中で彼女のパートナーになれて舞い上がっている。
しかし、オレは彼女の制約になっていないだろうか、足枷になっていないだろうか。


そして今、オレは「あの事故」の後遺症に悩まされている、それも激しく・・・


「知的でありながら妖艶で凛としている」と形容される彼女の現実の姿を目撃してしまった瞬間から、「知的巨乳エロ美人」のビジュアルが消えてくれない。


むしろ、日に日に増大する一方だ。


Lv.1 声を聞きたくなる
Lv.2 顔を見たくなる
Lv.3 直接会いたくなる
Lv.4 肉体関係を持ちたくなる


「あの事故」の前までは、彼女のリアルに関する情報に触れてもLv.1にすら達してはいなかった。
しかし、図らずもテレビ会議というリアルタイムの映像と音声でLv.2(静止画でないのでLv.3に極めて近い)までを経験してしまった今、オレはLv.4のステートに移行してしまっている。


今、彼女のブログの記事「そこから先は一方通行」を何度も読み返しては噛み締めている。
今のオレは、そこに書かれているような『インワールドの私だけを見て、想いを募らせて』いる男ではなくなっている・・・


9年前の3人と同じ轍は踏みたくない。
何よりも彼女のために。


・・・いろいろなことが手に付かない。